スクラムチームのご紹介

Gaiax R&D事業部 PMO の木村です。
takubon.hatenablog.com

Gaiax Advent Calendar 2015 - Qiita 14日目は、Gaiaxで実践しているスクラムチームをご紹介します。

プロジェクトチームは、小さいパイロット的なチームで、プロジェクト立ち上げ当時から参画して、スクラムで始めたプロジェクトです。
プロジェクトメンバーは、2名で、プロダクトオーナー兼開発チームになります。
なので、厳密にスクラムかと言うと微妙です。。。
私の立場は、アジャイルコーチとして関与しています。

スクラムを始める前に

プロジェクトを実施する前に合意しておくものがあります。

今回のプロジェクトは、プロジェクト立ち上げフェーズ(とは言え、数時間でしたが)上記を確認、合意しました。
このほか、ストーリー収集、リリース計画も立ち上げフェーズで実施しました。

プロジェクト立ち上げフェーズ

プロジェクトキックオフにあたり、方針、ビジョンなどを合意します。

ビジョニング

プロジェクトを立ち上げにあたり、どういったものを作るのか、なぜそれを作るのかを話し合いました。プロジェクトの指針になるものです。
今回のプロジェクトの目的は、web開発の学習が主目的で、TDD、Scrumなど新しい取り組みを行いたい。
プロダクトは、自分たちが日常で使いたいタスク管理ツールを作るプロジェクトです。
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ワーキングアグリーメント

俊敏に開発するためには、自分たちで働き方のルールを決めていきます。
適宜、見直しを行っています。
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写真は、ホワイトボードで話し合ったものを清書したものです。
付箋に書かれているのは、スプリントレトロスペクティブで、上がってきたKeepやTryで続けていきたいものをワーキングアグリーメントに追加しています。

完成の定義

何が出来ていたら完成なのかを定義します。
こちらも適宜、見直しを行っています。
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こちらも清書したものです。
付箋に書かれているのは、スプリントレトロスペクティブで、上がってきたKeepやTryで続けていきたいものを完成の定義に追加しています。

ユーザーストーリーマッピング

ビジョニングで検討した、プロダクトゴールを元に、ストーリーの洗い出しを行います。
洗い出したストーリーを、ユーザー体験ごとに並べ、ナラティブフローを作り、それごとに優先順位順に並べます。
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最初に写真を撮り忘れたので、後半のユーザーストーリーマッピングです。
ユーザーストーリーマッピングは、このままプロダクトバックログとして活用しています。
付箋の色で分けていて、オレンジがユーザーストーリー
ピンクがスプリントレビューで挙がったフィードバック
付箋にチェックを付けているものが、完了したストーリーです。
完了したストーリーに付いている緑色の付箋は、ストーリーの受け入れ基準になります。
青は何だっけか。。。


リリース計画

今回は、タスク管理として最低限利用できるのは、どこまでストーリーが実装されれば良いか話し合い、ミニマムセットのリリース範囲を決めました。
リリース範囲について、規模の見積もりを行い
規模を見積もったストーリーをひとつピックアップして、作業タスクを洗い出し、ざっくりとしたリリース計画を立てました。
このプロジェクトでは、4スプリントを実施すれば、ミニマムセットをリリース出来る計画になりました。



プロジェクトスタート

ワーキングアグリーメントで定めたとおり、スプリント期間は1週間で実施、毎週火曜日にスクラムイベントを実施しています。
同じ日にスクラムイベントを実施しているため、スプリントの終わりと始まりが同じ日に行っています。

スプリントプランニング

スプリントの最初にスプリントプランニングを実施し、このスプリントで何を実施するのか、どう実施するのかを合意します。

  • メンバーのキャパシティの確認
  • 実施するストーリーの選択
  • 受け入れ基準の確認
  • タスク洗い出し
  • タスクを理想時間で見積もり

スプリントプランニング第1部、第2部と分けずに、ストーリーごとに上記を実施しています。

デイリースクラム

Gaiaxでは、朝に実施しているため、朝会と呼ばれています。
毎日10:30から15分間、立って実施しています。

  • 昨日実施したこと
  • 今日実施すること
  • 困っていること
  • スプリントレトロスペクティブで出た項目(Try,Keep)の確認

スプリントレトロスペクティブで出た項目の確認は、改善する項目が実施されていないという問題があったので、デイリースクラムで毎回確認するようになりました。

実装中!!

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実装中の風景
メンバーの席がバラバラなため、座席を移動してスタンディングでペアプロを実施しています。
横にスプリントバックログも見えます。

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こちらが、スプリントバックログと、スプリントバーンダウンチャート、リリースバーンダウンチャートです。
リリースバーンダウンチャートを見ると、現在4スプリント実施中で、リリース計画の見直しをして、このスプリント終了時には、ミニマムセットのリリースが出来そうです。

スプリントレビュー

スプリント最終日のデイリースクラム後にスプリントレビューを実施しています。
ここでは、実際に動くものを受け入れ基準と照らし合わせてデモしてもらい、受け入れ基準が達成出来ていなければ、プロダクトバックログに差し戻します。
その後、プロダクトがより良くなるためにはどうするかを話し合い、フィードバックとして、プロダクトバックログに追加していきます。

スプリントレトロスペクティブ

スプリントレトロスペクティブは、KPT方式で実施しています。
最初に、KPT全体を見直し、Tryして続けていきたいものは、Keepへ移動。
Keepで続けていきたいもは、そのままKeepに残すか、完成の定義またはワーキングアグリーメントに移動します。
Problemは問題が改善しているものは剥がしてしまいます。
KPTボードをリフレッシュした後、Keep,Problem,Tryを挙げていきます。

  • Keep
    • 良かったこと、続けていきたいこと
  • Problem
    • 改善した方がよいこと
  • Try
    • 発生したProblemの具体的な改善策
    • よりよくなるためのチャレンジ

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スプリントバックログの裏がKPTのボードになっていて、毎日デイリースクラムで改善策に取り組めているか確認しています。
こちらも付箋の色で分けています。
緑:Keep
黄:Problem
ピンク:Try

実際にスクラムで実施してみた感想

メンバーに以下の質問をして回答してもらいました。

  • 質問:今までの働き方と比べて(新人研修とかでもOKです)
    • 良かった点
      • 基本的にペアで作業する
      • 1スプリント分のタスクの洗い出しと見積もりをしっかりやる
      • 1スプリント分で使える時間を予め決めてから計画する
      • スクラムイベントでKPTによる振り返り
      • デイリーバーンダウンチャートを毎日更新する
      • 慣れるとリズムが出る
      • アナログな紙とボードを使う
      • 毎日プロブレムに対する改善を意識してプロジェクトに取り組めた
      • 作業時間の見積もり方が体系化されていたため、無理なく進められた
      • リモートリポジトリにプッシュする条件が明確だったのでコードを書くことをやめるタイミングが明確だった
    • 悪かった点
      • 慣れるまでは戸惑うことがあった(タスクの時間見積もり)
      • あるはずがないです
  • 質問:スクラムをやってみて
    • 気づいた点
      • 直接ストーリーとは関係ないことを考慮し過ぎていた
      • 毎日Tryを確認しないと忘れる
      • リリース出来るものを1スプリントで完成させることの重要性
      • 改善のための動きを徹底しておかないと体系化された開発プロセスを使う意味がない。
      • 振り返りはどうしても(日本人)は悪かった部分をたくさんあげてしまうが、一週間で実施できる改善の動きは限りがあるので、本当にクリティカルな物だけをピックアップすべき。

さいごに

スクラムで運営しているチームの立ち上げから、スプリントで実施しているスクラムイベントなどを紹介しながら、実際にどのように進めているのかをご紹介しました。
今後、スクラムをはじめてみようという際に、参考にしていただけたら幸いです。
このプロジェクトも、現在4スプリント目に入り、ミニマムセットはリリース出来そうです。
チームも進め方に慣れた頃で、次週から新たなリリース計画を実施してプロダクトを洗練させていく予定です。こうご期待!

明日は、R&Dのスクラムマスター @milkyway さんです。

追伸

スチレンボードと強粘着の付箋いいですね。持ち運びが出来るのがとてもGoodです。